【やってみた】サポート材無しで造形できる限界に挑戦

FDM方式(造形方式の詳細:3Dプリンタ造形方法)の3Dプリンタで造形する際に悩ましいポイントはサポート材をどの程度設定するかです。FDM方式は1層づつ積層して造形するため、宙に浮いた部分は造形できないので、構造によってはサポート材が必要です。

このサポート材の設定は、最終的な材料量・造形時間・品質全てに関わってくるため、非常に重要なポイントです。悩ましいのは、サポート材は少ないに越したことがない(少ない材料量で早くできる)のですが、少なすぎるとキレイに造形できなくなるため、「必要最低限」のサポート材を適切に設定することが重要になってきます。

サポート材を自動生成してくれるソフトウェアは多いですが、経験上サポート材の設定を少しマニュアルでいじった方が造形の品質が上がります。理論上は鉛直方向から少しでも傾きが生じたらサポート材が必要なのですが、実際は結構な角度まではサポート材不要で造形できます。

今回はどの程度(の角度)まではサポート材不要でも造形できるかのテストを行いました。ここで重要なのが、造形の温度で、高温だと材料が軟化しすぎて大きな傾斜角では材料が垂れてしまいます。低温だと途中でノズルが詰まってしまう恐れがあるため、形状を加味した最適温度の見極めが重要です。

テストは鉛直方向からの角度を0度~80度まで10度刻みで板を立てた以下の形状を様々な条件で造形して、その結果を比べてみたいと思います。

まず、一般的に230℃~240℃が造形温度とされているABSを左側から220℃/230℃/240℃/250℃でピッチ0.25mmで造形してみました。左端の220℃は70度くらいまではなんとか形状を維持できていますが、右端の250℃では50度くらいから形状が乱れ始めています。

次に、高品質なABS(左)と一般的なABS(右)を造形温度240℃、積層ピッチ0.25mmで比べてみました。高品質なABS(左)は70度くらいまで形状を維持していますが、一般的なABS(右)は50度くらいから乱れ始めています。

最後に、高品質なABSを造形温度240℃で、積層ピッチ0.25mm(左)と積層ピッチ0.30mm(右)で比べてみました。ピッチ0.25mm(左)は70度くらいまで形状を維持していますが、ピッチ0.30mm(右)は60度くらいから乱れ始めています。

上記の結果だけみると、低温で細かいピッチで造形すればイイじゃないかと思いますが、それは「低温でじっくり造形する」ことなので非常に時間が掛かります。やはり造形物に応じた「必要最低限」のサポート材をいかに設定できるかが重要になってくると思います。3Dプリンタのサポート材の設定に悩まれている方は、お使いのフィラメントで上記のようなテストを行うと最適な条件が見えてくるかもしれませんので、ご参考まで。

八十二銀などのファンドがスワニーに5000万円投資

今日の日本経済新聞に「スワニ-、樹脂製型事業を強化 八十二銀などのファンドが投融資」の記事が出ていました。日経によると ”八十二銀行と政府系の地域経済活性化支援機構(REVIC)が運営する「八十二地域産業グロースサポートファンド」から28日に投融資を受け、試作・開発に使う樹脂製の型を3Dプリンターで製造する「デジタルモールド」事業を強化する。金額は5000万円、期間は2025年まで。設備投資や部品設計者の新規雇用などに資金を活用する。” とのことです。
日本経済新聞
プレスリリース

スワニーのデジタルモールドは3Dプリンタの展示会では常連で、昨年は「2016年日経優秀製品・サービス賞 最優秀賞 日経産業新聞賞」を受賞しています。
2016年日経優秀製品・サービス賞の特集ページ

そこで本日はスワニーのデジタルモールドを紹介したいと思います。スワニーのHPによると ”デジタルモールドは、3Dプリント樹脂型を用いてABS、PS、POM、PPなどの熱可塑性樹脂樹脂を射出成形する最新技術です。また、メタルインジェクションモールドやプレスにより金属部品の試作製造も可能になりました。迅速で安価に量産材料で試作部品や小ロット部品を製造することができます。” とのことです。

要は3Dプリンタで製品自体の造形をするのではなく、従来の製造プロセスにおける「型」の作成を3Dプリンタでやってしまうということです。確かに金型の作成には膨大なコストが掛かりますので、それを3Dプリンタで手軽にできるのは便利ですね。また実際の量産材料で試作できる点も魅力的だと思います。

射出成型の型としての活用。

ロストワックスの型として活用(別途鋳型が必要)。

樹脂で板金をプレスも可能。

3Dプリンタを活用したモノづくりの新たな方法として、デジタルモールドは今後も注目の技術だと思います。

出所
有限会社スワニーHP

3Dプリンタの未来の造形方法(次世代FDM)

3Dプリンタの販売店さん・メーカーさんとお話させて頂く機会も多いのですが、昨日はFDM方式(詳細は3Dプリンタ造形方法)の将来はどうなるのだろうかとの話になりました。FDM方式はシンプルかつ低コストな素晴らしい造形方法ですが、表面に積層縞が出ること、サポート材が必要なこと、造形時間が長いことが課題です。この課題が解決されてくると今以上にFDM方式は普及するだろうという話になり、FDMのテーブル自体が多軸構造になっている次世代型FDMの話題になりましたので、関連動画を紹介します。

1つ目は、スイスの学生が開発中の次世代FDMの動画です。造形テーブル自体が3軸駆動しており、サポートレスでオーバーハングの造形を行っています。

2つ目は、3Dプリンタメーカー大手のStratasysがボーイング・シーメンス・フォードと共に取り組んでいる次世代の製造方式の紹介です。動画後半で多軸駆動のアームを活用することでサポートレスでFDM造形を行っています。

どちらの技術も安定性や精度などの課題はあるでしょうが、実現できるとFDM方式の可能性がさらに広がると思います。実現はまだまだ先の話だと思いますが、将来の技術について思いを馳せてみる週末もイイものですね。

3Dプリンタ造形方法

一言で「3Dプリンタ」といっても1台5万円程度のものから数億円するものまで様々な装置があります。造形方式や対象素材が異なるのですが、要は物体を一層づつ積み重ねていき立体にする造形方法です。

それだけ聞くと単純ですが、従来のモノづくりとは発想が真逆(だから革新的)です。従来のモノづくりは材料を切ったり、削ったり、変形させたり「引き算」の発想で造形されていました。しかし3Dプリンタは真逆の「足し算」の発想で造形されています。そのため、専門用語では「Additive Manufacturing:付加製造」と言ったりしますが、3Dプリンタという言葉が分かりやすかったのか定着しています。5万円から数億円といった装置の価格差はこの付加製造の足し算の方法の違いによる部分が大きいです。3Dプリンタ造形方法には、大きく以下の4つの方法があります。

①熱溶解積層法:FDM(Fused Deposition Modeling)
細いワイヤー状で提供される樹脂を高温で溶解させて造形する方法です。
100万円以下の安価な3Dプリンタは大体この方法です。材料も安価で造形も早いですが、どうしても積層縞が出来てしまいます。

②インクジェット法
液化した材料をノズルによって必要な箇所に必要分積層させて造形する方法です。
高精細な造形やフルカラー造形が可能ですが、装置が高価(数百万円~)です。

③光造形法:SLA(Stereo Lithography Apparatus)
液状の光硬化性樹脂に光を一層づつ当てて造形する方法です。
ターミネーター2の敵の警官みたいな感じで(非常にゆっくりですが)造形されます。非常に高精細ですが、装置(数百万円~)・材料共に高価です。

④粉末焼結法:SLS(Selective Laser Sintering)
金属等の粉末を薄い層状に敷き詰めてレーザー等で焼き固めて造形する方法です。
自動車部品などの金属の最終製品にも使用可能な高精細かつ鋳造レベルの耐久性を実現できますが、装置(数千万円~数億円)・材料共に非常に高価です。

3Dプリンタがあればどこでも何でも作れると言われたりもしますが、それはもう少し未来の話だと思います。現状では、造形方法によって装置価格の桁が違ってくるので、目的に応じて適切な造形方法や装置を選ぶ必要があります。(非常に難しい選択ですが)

出所
「新ものづくり研究会」経済産業省(2014/02)
・「3Dプリンタとは」株式会社リコー